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真夏に、「霊」を感じるアート体験

右が入り口で渡される会場マップと作品リスト。手に携えて会場をまわったのでシワシワなのは悪しからず。

お盆に先祖の霊が帰ってくる、と考えるわたしたちにとって、この時期にみるのはタイムリーかもしれません。「人が生きていた痕跡」とか「霊魂」を感じるクリスチャン・ボルタンスキーの大回顧展「Lifetime」

黒い服を積み上げた巨大な「ぼた山」の周りを囲む、これまた黒い服のかかしのような人形。近づくと「(死ぬのって)飛んていく感じ?」「誰を遺してきたの?」などと問うてくるのですが、自分があの世で魂と化したような気分に。"死後の世界"の門番に聞かれているのか、現世の誰かと交信しているのか……。無数の何かがひそんでいるようなひんやりと薄暗い空間で、真夏の怪談とは違う趣で「霊」と向き合うのもいいかもしれません。人々の写真を額に入れてランプで照らす作品「モニュメント」の一連が展示された空間は、部屋全体が静謐な墓地や礼拝所のようで心がふるえました。

ちなみに会場では作品名とスペック、解説の表示はありません。入り口で会場マップと作品リストとおのおのにちょっとした解説が書いてあるペーパーを渡されます。初めは会場をまわりながらそれを作品と照らし合わせて……とやっていたのですが、場内が暗いので読みづらく、マップと作品リストをいちいち照らし合わせるのも面倒。そもそも一つ一つ答え合わせすること自体が間違いかもしれませんし、作品に集中することにしました。そこにアーティストの意図があったのでしょう。会場構成がとてもすばらしく、天井の高い迷路に入り込むようで、途中小さな窓から幻想的な作品をのぞいたり、作品そのものをくぐり抜けたり、「幽霊の廊下」を通ったり、自然と世界に引き込まれます。「鑑賞」というよりは、もはやひとつの「体験」として心に残るのです。

上記の会場マップ&作品リストには、見開きを使って「保存室(カナダ)」の展示風景をドーンと掲載。国立新美術館ではちょっと違うかたちで展示されています。

展示数も内容もコンパクトにまとまっています。時間がない方も、一つ一つの作品とゆっくり向き合えますよ。

提供元: SPUR.JP

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