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この香水は、新しい景色を見せてくれる

いままで出合ったことのない香りに遭遇したとき「これは何だ!」と神経が研ぎ澄まされていきますよね。脳や五感をフル回転させて、そのディテールを掴み取りたいわけです。そんな「これは何だ!」な香りの小宇宙を展開するフレグランスブランドが、アルゼンチン発の“フエギア 1883”。植物に由来する天然原料にこだわって配合された香りのひとつひとつが、複雑で深みがある。そして、どこか物語的な情緒が漂っているんです。そんな大好きなブランドについて、今日は語らせてください!

日本では、六本木グランドハイアットの1階に旗艦店があります。ボトルにはフラスコがセットされており、わずかに揮発させた香りが閉じ込められている。それらがずらりと並ぶ様子も圧巻で、このショップのすみずみにまで行き渡った美意識にぴんと背筋が伸びます。

日本を訪れていたジュリアン・ベデル氏

調香師であり創業者は、ブエノスアイレス生まれのジュリアン・ベデル氏。芸術家の父や画家・彫刻家の兄弟に囲まれた、アーティスティックな環境で育ちました。その環境でさまざまな表現法を試すプロセスで、より「説明的」ではない表現に惹かれていった、とのこと。音楽、特にタンゴをこよなく愛するベデル氏いわく「歌がなかったり、何が歌われているのか分からなくても、私たちはその曲を好きになりますよね」。確かに、想像力ってすごくロマンティックですよね。そんな芸術的アプローチの一方で、科学的な側面にも言及。「2004年のノーベル賞(「嗅覚」についての医学生理学賞)で解明されたのは、人間が何かを嗅いだとき、新たな分子にさらされます。そして脳神経が刺激され、ホルモンは放出される。人間が変化するんです」。この科学的“トリック”にも魅力を感じ、彼は香水を作っています。確かにダイナミックな感性と、緻密で理系的な側面と、FUEGUIA 1833の香りにはどちらもが感じられるのです。


パタゴニアの大自然や文化からのインスパイアをはじめとして、香りの着想源もさまざま。数あるラインナップのなかには、日本をイメージしたフレグランスも。南米、アルゼンチンをはじめ世界各地で植物のリサーチをする過程で、独自の生態系を築く島国である日本の「木」に着目。建物の材料となるだけでなく、長谷川等伯の「松林図屏風」のような
トラディショナルなアートにもインスピレーションを得たそうです。そして完成したのが雨上がりに濡れた葉っぱのみずみずしさと湿度が伝わってくるような「Asagiri」や、京都の夜の桜をアンバー(琥珀)で表現した「Komorebi」。海に打ち寄せられるこの天然の化石、アンバーは桜の透明感やフレッシュさを思わせて、ほのかな余韻が心地よい一品です。どちらも香った瞬間、眼前に自然の風景が見えました……。馴染みのある香りがぐっと洗練されて、独自のバランスへと昇華されている印象です。
Komorebi

香水とは、旅であって、新しい世界であって、探求である。そのアティチュードはブランド名にもあらわれています。自然科学者のチャールズ・ダーウィンをはじめとする海洋探検家たちが、南米の先住民の少女フエギア・バスケットを伴って再訪したのが1833年。“フエギア 1833”には、そんな未知なるものへの探究心と、さまざまな景色がぎゅっと凝縮されている。ぜひ、フラッグシップストアでさまざまな香りを嗅ぎ比べ、これぞ!という一品に出合うことをおすすめします(こちらの旗艦店、訪れるだけでラグジュアリーな気持ちになれます)。

11月中旬にはニューコレクション「tónico」もローンチするとのこと。こちらも大変楽しみ!

提供元: SPUR.JP

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