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熊谷守一に憧れます

忘年会の二次会の深い夜に、なんの話の流れか突然「あなたの人生のゴールは何ですか?」と質問が飛んできました。睡魔とアルコールで霞む頭でその場はあやふやなことを答えたように記憶しているのですが、画家・熊谷守一の生き方には憧れます。

明るい色とユニークな形で、虫や花、鳥などを生き生きと描いた熊谷守一は、晩年、家からほとんど出ることがなく、自宅の小さな庭を飽きずに眺めて絵を制作したといいます。アリが動くさまを間近で観察し、雨粒が地面に描く模様に惹かれ、そして、日を浴びて眠る猫を愛した画家。本人は、歯がところどころ抜け、髪も髭も伸び放題でまるで仙人のようなルックスで、そのポートレート写真がまた魅力的なんです。長い人生のなかには戦争があり、貧困があり、家族の死があり、悲しみも経験したけれど、晩年の作品には身の回りの事象への朗らかな好奇心が溢れているように思います。

人生のゴールなんて、壮大な質問の答えはちょっと思いつかない。世界の絶景も見に行きたいし、おいしいものも食べに行きたい。けれども、身近な命に無限のよろこびを見出す熊谷守一の生き方に、やっぱり憧れるのです。

その熊谷守一、没後40年の大回顧展が東京国立近代美術館で開催中です。金、土曜は20時まで開館しているので、仕事を終わらせて駆け込むと充実した夜を過ごせますよ(入館は閉館30分前まで)。ぜひ足を運んでみてください。会期は2018年321日までです。

提供元: SPUR.JP

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