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絶景に出合える!「奥能登国際芸術祭」が素晴らしい

空海によって発見された、という伝説が残る「見附島」近くの海岸線には、リュウ・ジャンファさんの作品「Drifting Landscape」が。地域に伝わる珠洲焼と景徳鎮の陶器が海岸に流れ着いたように配置された作品
空海によって発見された、という伝説が残る「見附島」近くの海岸線には、リュウ・ジャンファさんの作品「Drifting Landscape」が。地域に伝わる珠洲焼と景徳鎮の陶器が海岸に流れ着いたように配置された作品

「奥能登」あるいは「石川県珠洲市」と聞いて、どこを思い浮かべますか?私は正直どこなのかピンときませんでした。現在、「奥能登国際芸術祭」が行われている珠洲市は、能登半島の最先端にある町です。最後に載せたガイドブックのカバーをぜひ見てみてください。現代の感覚では「日本列島のはじっこ」のイメージが強いですが、視点を陸路から海路に切り替えると、かつて中国大陸や朝鮮半島、あるいはさらにその先へとつなぐ交通の要衝だったことが容易に想像できます。古来、交通と様々な文化の交差点であった歴史的背景もあってか、独特な風習やお祭りが今も受け継がれている珠洲市。実際に行ってみると、移り変わる時代の中で、すっかりその奔流から取り残されてしまったかのような小さな町でした。でも、そこがいい。昔ながら田園風景や、昭和風の銭湯や建物、廃線路や廃車両が、時がとまったかのようにそのまま残っていて、地域色豊かなこの町の味わい深さにすっかり魅了されてしまいました。

普段はとても静かな町なんだろうな、と想像されるそんなのどかな珠洲市が、今回初となる国際芸術祭をきっかけににわかく熱くなっています。珠洲市を代表する景勝地「見附島」や、前述した独特の古い建物や廃線路、廃駅に大がかりな作品が設置され、かなりインパクト大。アートを鑑賞しながら、奥能登の絶景、そして素朴な暮らしの風景に出合えるとても個性豊かな芸術祭でした。

写真家、石川直樹さんの展示「混浴宇宙宝湯」より。かつては芝居小屋や旅館だったこともあり、現在は銭湯となっている施設を利用。これまでにないカオティックな展示は必見
写真家、石川直樹さんの展示「混浴宇宙宝湯」より。かつては芝居小屋や旅館だったこともあり、現在は銭湯となっている施設を利用。これまでにないカオティックな展示は必見。
漂流物だった廃棄物を、鳥居にした深澤孝史さんの「神話の続き」。海からの漂流物を「漂流神」として祀る風習から着想を得た作品
漂流物だった廃棄物を、鳥居にした深澤孝史さんの「神話の続き」。海からの漂流物を「漂流神」として祀る風習から着想を得た作品
塩田千春さんの「時を運ぶ船」は、この地方に伝わる伝統的な製塩作業で実際使われていた船をモチーフに
塩田千春さんの「時を運ぶ船」は、この地方に伝わる伝統的な製塩作業で実際使われていた船をモチーフに
廃線路に設置されたカラフルな作品はトビアス・レーベルガーさんの「なにか他にできる」。人気作品の一つ。
廃線路に設置されたカラフルな作品はトビアス・レーベルガーさんの「なにか他にできる」
村尾かずこさんの「サザエハウス」。海岸沿いの小屋の壁面にサザエなどの貝殻を覆った作品。中に入ってみるとさらなる驚きが
村尾かずこさんの「サザエハウス」。海岸沿いの小屋の壁面をサザエなどの貝殻で覆った作品。中に入ってみるとさらなる驚きが
公式ガイドブック。カバーには通称「逆さ地図」と呼ばれる地図が。日本列島の見え方が全く違うものにえ方に
公式ガイドブック。カバーには通称「逆さ地図」と呼ばれる地図が。○囲み部分が奥能登、珠洲市。視点を変えることで日本列島と他の地域の関係性に新たな発見が

レンタカーがあった方が便利なのは言わずもがなですが、私のようなペーパードライバーの方には「すずバス」というバスガイドツアーとレンタサイクルがおすすめ。ツアーのガイドさんは地元のおじいさん。芸術祭をきっかけに活気づく地元のことを熱く語るその姿をみて、いいなあ、としみじみ。

「奥能登国際芸術祭」は今月22日まで。芸術祭をきっけに地域が盛り上がるのはとても喜ばしいことですが、どうかこれからも素朴な町のままでいください、と心の中で静かに合掌しました。

提供元: SPUR.JP

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