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ミステリーは誰と観るべきか #深夜のこっそり話 #905

今年初の映画鑑賞は、オール・スターの競演で話題の『オリエント急行殺人事件』でした。アガサ・クリスティのファンでもある私は、翻訳で読み、原作は語学力が足りず挫折し(苦笑)、近年では三谷幸喜脚本のスペシャルドラマも見ていました。当然、オチを知っています。一方、一緒に観た相手方は結末はもとより「なんとなくタイトルは聞いたことがある」といった具合で、“はじめてであう事件(物語)”。

詳しく書くとネタバレになるので控えますが、演者に「演技する人を演じる」ことを求めるこの作品。ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ジュディ・リンチ、ペネロペ・クルスと文字を眺めるだけで眩いキャストたちの渾身の演技に引き込まれ、真犯人を知っていようがいまいが十二分に楽しめる内容でした。さて、上映後。カフェで憩いながら互いに感想を述べ合ったのですが、初見だからこその驚きの反応をする相手を目のあたりにして、うらやましくなりました。向こうも同じく、結末を知っている私ならでの視点に興味津々といった様子。それぞれの感想を重ねあい、ひとつの作品をまるでひつまぶしのように何度も楽しみ味わう有意義な時間を過ごせた印象。

「何がどうなってるの?」という疑問、「ええ? そういうことだったのか!」というやられた感こそが、ミステリーの醍醐味。昨年観た映画は邦画が多かったせいか原作ありきのものが多く、行く末にハラハラドキドキするというより、演出のほうに気がとられていたのかもしれません。今年は、邦画も洋画も、映画用に書き下ろされたオリジナル脚本の作品がもっと登場するとうれしいなと思いつつ、オチを知ってしまっている作品は、結末を知らない人と一緒に観に行ってそれぞれの視点を楽しむのも一興かも。早速、今年上映予定の映画情報をおさらいしはじめた連休前夜です。(エディターR)

ジャーナリスト佐藤友紀さんが語る、ジョニー・デップの魅力>

女優陣がカギを握る本作。さまざまな境遇で生きる女性たちの群像劇でもありました。photo:getty images

まさに“はまり役”だったジョニー・デップの演技も必見です。photo:getty images

提供元: SPUR.JP

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